Student Profile of Kazuhiro Monden

Associate Professor
Adrian Vickers
あなたのバックグラウンドを教えてください。オーストラリアに渡る前、何をしていましたか?なぜオーストラリアで国際関係を勉強しようと思いましたか?
秋田経済法科大学法学部を卒業後、約2年間、同大学に研究生として在籍、在学中から目標としていた資格試験合格を目指し、その為の勉強をしていたが、オーストラリアでの国際間係論の学位取得決断後、約1年間を渡豪準備に費やす。元来、現代国際史に深く興味を有し、大学在学中は国際間係論を専攻、卒業後の研究生在籍中も国際関係に対して強く問題意識を持っていた。特に差別や不平等といった問題を少しでも減らす為の仕事に、国際連合諸関係機関の何れかにおいて従事したいという事から、その手段としてオーストラリアで国際間係論修士号と博士号を取得しようと決断。
オーストラリアを選んだ主な理由のひとつは、「英語圏で国際間係を勉強し、しかもアジアの国々のことを学びつつ、沢山の異文化を経験したいのであればオーストラリアが最適であろう」という友人からのアドバイスです。もうひとつは、日本に学問的に一番近い英語圏(アメリカ、イギリス)ではなくて、ちょっと違った角度から国際関係論を勉強できる国と言う事です。
なぜ留学先としてオーストラリアを選びましたか?
University of Wollongong (UOW)を選んだ理由としては、UOWが大学付属の語学学校を有し、なおかつUOWの語学学校のみが、語学学校の成績を持ってして同大学院に入学出来る機会を与えていたことです。また、同大学大学院の国際関係論グループが他の大学院と比較して実務的なフレームワークを取り入れていたことも、理由になりました。
大学院の英語力条件をどのように満たしましたか?
英語力がUOWの大学院の要求を満たしていなかったので、大学院入学以前に、まず現地の語学学校で英語を入門コースから学ぶことにしました。同大学語学学校のアカデミックコースで、11ヶ月間に亘り4週間毎のクラス進級試験、そして卒業試験をパスし、UOW大学院国際関係論プログラムに入学しました。
国際関係学のコースはどうですか?
国際関係論プログラムのコースワークを通して、学術的、実務的な国際関係論における政治学をバランスよく学ぶ事が出来ました。また、国際政治状況や問題に対して、国際的な場ですぐに活用出来る分析力を身に付ける事が出来た事は特筆すべき点です。
UOWの国際関係論プログラムにおける特殊性としては、国際関係論プログラムが所属する歴史政治学研究科や他研究科の主催するセミナーシリーズや学術会議に参加したり、それを聴講したりする機会があることです。又、それらの機会や日々のコースワークにおいてのデイベートを通して、オーストラリアの生徒や他国出身の留学生と交流を深める事が出来ます。中には第三世界からの現職の外交官や高級公務員もいて、彼等の経験談や国際政治に関する分析を聞く事が出来ました。彼等と討論、論争、そして何よりも日々の国際政治状況、問題に関しての分析を意見交換し合った事が、分析力を身に付ける上で非常に重要なことでした。
付け加えれば、自発的に上記の機会の場を見つけ、率先して参加し、又、参加するに当っても自分自身の見解や少なくとも意見程度は持っていた方がよいでしょう。
日本とは勉強のスタイルが違いますか?日本と比べて簡単ですか、それとも難しいですか?慣れるのに時間がかかりましたか?
日本とオーストラリアとの勉強のスタイルは明らかに異なっています。特異な事は、盗作行為への対応が非常に厳しい事でしょう。又、授業や課題のスタイルも日本の大学と異なります。授業は1科目に付き週3時間で、その内訳は、講義が1時間、チュートリアルとよばれる日本で言うところの演習が2時間です。チュートリアルの内容は、週毎に設定されたトピックスについてのプレゼンテーション、そしてそのトピックスに関してのディベートとディスカッションです。
課題は科目毎により異なっていますが、大抵は2つから3つの小論文と1つの長論文、若しくは論文による最終テストがあります。論文課題において小、長に関わらず日本の卒業論文と同等か若しくはそれ以上の内容とレベルが要求されます。これらの授業、論文課題において共通して言える事ですが、只単に自己の意見や歴史的経過の説明を述べるだけでは無く、批判的見地から論理的、理論的に自己の見解を定義し、自己の定義を反対意見から論理的に防御しつつ立証しなければなりません。
ごく基本的な事ですが、理解出来なかった事があったら、疑問点に関して友人やクラスメートと憶測を立てるのでは無く、質問する事を恐れずに、担当教官に直接聞く事です。どんな小さな疑問、質問、不理解、困惑でも、自分が明白に理解出来るまで妥当な人間に聞く事は、オーストラリアで勉学をするうえで自然でごく普通の事です。以上の様に、国の教育形式自体が日本とオーストラリアでは異なる為、全く準備もせずいきなり大学院を始めた場合はかなり難しいでしょう。
自分自身である程度の準備期間を与えて、大学院入学前に同大学語学学校において準備をする事も出来ますし、なおかつ大学院入学後は大学にある種々のサポートサービスをフルに活用すべきでしょう。大学院の形式に本格的に慣れるのは、個々人により異なりますが大抵の学生が第2セッションからです。付け加えると、授業においては待っているのでは無く、自分から積極的に意見を述べる事が強く要求されます。
オーストラリアでの勉学や大学生活において最も面白い点は何ですか?
大学生活を通して最も面白い事は、オーストラリアが多人種多文化移民社会であると言う特異性から、日々の国際政治状況、問題が常にローカルなニュースとなることです。マスメデイアや個々人を通して、国際問題の当事国出身の移民や留学生から異なった意見を直接聞く機会が、他の英語圏よりも多くあります。例えば、CNNやBBCの衛生放送番組を見なくても、殆ど毎日と言って好い程、欧州、北米、アジア、中近東、東欧、アフリカ、南米からのニュースが、オーストラリアの国内ニュースと同様に、国営放送や民放の一般放送チャンネル、あるいは全国紙で報道されます。授業、生活の両方において新発見の毎日ですが、常に生活に有る楽しみは、異なる国の出身者と友人関係を築く事が出来、それによって自分で多人種・多文化・移民社会を実際に経験できることでしょう。
日本や他国と比べて、オーストラリアで国際関係を学ぶことのプラス面とマイナス面は何だと思いますか?
此所まで述べてきた事に付け加えるならば、やはり、オーストラリアで国際関係論を学ぶことのプラス面は、広範囲な地域研究から専門的な問題研究に至るまで、北アジア、東南アジアの国際関係論を欧英米とは違った視点から学ぶ事が出来る事です。これを可能にしているのは、特にオーストラリアの地理的状況、および北アジア、東南アジアとの歴史的関係です。
全体的に言って、北アジア、東南アジアの国際関係論に関する研究において、オーストラリアは他の英語圏と比較しても世界的に高い実績を誇ります。マイナスの面としては、日本についての情報が限られていると言えるかもしれませんが、それも日本からある程度離れて外から自国を見てみるいい機会だとも言えるでしょう。もしかしたら日本を再発見する事ができるかも知れません。
オーストラリアでの勉学や生活を勧めるのはなぜですか?ウーロンゴンは、勉学や生活の場としてどうですか?
オーストラリアでの勉学を勧める一番の理由としては、一言で言って、世界が見えるということでしょう。今まで挙げてきた答えや私自身の経験から言える事ですが、オーストラリアが多人種・多文化・移民社会を基盤にしている事から、個々人のアイデンティティーを尊重し、違いを受け入れ、誰に対しても平等で公平な機会を与えると言う、Australian Spirit とでも言うべき"Fair Go" 精神が広くオーストラリア社会に根付いています。それは大学における勉強でも、日常生活でも発見出来るでしょう。この点から言って、University of Wollongong が位置するWollongongは多人種、多文化で、移民の割合が他都市と比較しても非常に高く、上記に述べた事を実体験するには格好の場所でも有ります。
又、Wollongongは正面にTasman Seaと、日本では見る事の出来ない非常に長距離なビーチや、後ろにはKembla山, Keira山などが連なり、非常に自然に恵まれ、それらを満喫するスポーツも非常に盛んです。何れにしても、オーストラリアにおいては誰も特別では無く、自分から行動を起さないと誰も相手にしてくれません。しかし、あらゆる状況において自分自身の自覚と目的を確固として持ち、積極的に自分の興味を持った事を探究している内に私が述べた事を全て経験するか、それ以上の素晴らしい経験が出来るかも知れません。
注: 2018年現在、国際学はリサーチの修士課程として提供され、コースワークの修士課程はありません。